階段の登り降りに貢献しているのは大きな筋肉だけではない
日常生活行動としてだけでなく、効率的・効果的な運動として欠かせない階段の昇り降り。みなさまが何気なく行なっている動作の裏で、実は多くの筋肉が協調して働いていることをご存知でしょうか?
特に注目したいのが、すねの前側と足裏の筋肉です。これらの “隠れた主役” とも言える筋肉は、階段登り降り動作の安定性や効率性に大きく貢献しています。階段の登り降りでは、太ももの筋肉やふくらはぎの筋肉の働きがまずは注目されがちです。しかし実は、すねの前側にある筋肉や、足裏の小さな筋肉群も重要な役割を担っているのです。これらの筋肉の適切な働きがあってこそ、私たちは安全かつスムースに階段を登り降りすることができます。
本記事では、階段の登り降りにおけるすねの前側と足裏の筋肉の具体的な役割や重要性について詳しく解説します。これらの筋肉も意識しながら運動することで、階段の登り降りはまた『一段と』効果的なものになるかもしれません。
階段の登り降りで働く下肢の “メジャーな” 筋肉
階段の登り降りにおいては一般的に、太ももの筋肉(大腿四頭筋やハムストリングス)やふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)が広く知られています。これらの筋肉は大きく、日常生活からスポーツ活動まで幅広い場面で重要な役割を果たしています。
階段の登り降りで働く下肢の “マイナーな” 筋肉
すねの前側の筋肉(前脛骨筋)の役割
前脛骨筋の主な機能
- 足関節の背屈:
- 足首を上に引き上げる動作を行います。
- 足の内反:
- 足の内側を持ち上げ、安定性とバランスを保ちます。
- 土踏まずの形成:
- 足の内側縦アーチ(土踏まず)を保つ役割を担っています。
- つまずき防止:
- 歩行時に足先を持ち上げ、つまずきを防ぎます。
階段を登る際の寄与
- 足の持ち上げ:
- 足を次の段に持ち上げる際に、足首を背屈させて足先が引っかからないようにします。
- バランス保持:
- 上昇時のバランスを維持します。
- 推進力の提供:
- 足首の背屈を通じて、上方への推進力を生み出します。
階段を下る際の寄与
- 衝撃吸収:
- 足を下の段に降ろす際、前脛骨筋が足首の動きを制御し衝撃を吸収します。
- 安定性の提供:
- 下降時の足の位置を調整し、安定性を確保します。
- 転倒防止:
- 足首の背屈を維持することで、つま先が引っかかって転倒するのを防ぎます。
出典:前脛骨筋のストレッチとトレーニング。大事な筋肉のケアをしましょう。
前脛骨筋 (Tibialis Anterior)とは
【2022年最新】前脛骨筋の起始停止と作用は?筋トレ、ストレッチ、自主トレ、評価、リハビリ論文サマリーまで
足裏の筋肉(足底筋群)の役割
足底筋群の主な機能
- 足部の形状維持:
- 足のアーチ構造を維持し、足部の安定性を確保します。
- 足趾(足のゆび)の動き制御:
- つま先や指を屈伸させたり、内側・外側に動かす機能を担います。
- バランス調整:
- 地面の状況を感知し、姿勢の微調整を行います。
- 衝撃吸収:
- 歩行や走行時の衝撃を吸収し、身体全体への負担を軽減します。
- 血流改善:
- 足裏の筋肉を動かすことで、全身の血流改善に寄与します。
階段を登る際の寄与
- 推進力の生成:
- 足底筋群が収縮することで、体を上方に押し上げる力を生み出します。
- 安定性の確保:
- 内在筋が足部のアーチを維持し、階段の段に足を安定して置くことができます。
- バランスの調整:
- 地面との接触感覚を通じて、姿勢のバランスを微調整します。
階段を下る際の寄与
- 衝撃吸収:
- 足底筋群が収縮して階段を降りる際の衝撃を吸収し、関節への負担を軽減します。
- 姿勢制御:
- 足部の安定性を保ちながら体重を支えます。
- バランス維持:
- 地面との接触感覚を通じて、姿勢のバランスを保ち転倒を防ぎます。
階段を降りる際は体重の約3倍の荷重が足にかかるため、足裏の筋肉の役割が特に重要です。
- 地面との接触感覚を通じて、姿勢のバランスを保ち転倒を防ぎます。
出典:あしうら(足底)の筋肉を「鍛える」&「ほぐす」で足の不調を防ぐ!
すねの前側と足裏にある筋肉を鍛えるメリット
すねの前側(前脛骨筋)と足裏(足底筋群)の筋肉を鍛えることは、日常生活の質を向上させる上で非常に重要です。これらの筋肉群を強化することで、以下のような多くのメリットが得られます。
以上のように、すねの前側と足裏の筋肉を鍛えることは、単に足部の機能改善だけでなく、全身の健康と生活の質の向上に大きく寄与します。日常的なトレーニングを通じて、これらの筋肉を意識的に動かしてはいかがでしょうか?
出典:足腰を鍛えるメリットとおすすめの筋トレ、安全に行うための注意点
足の筋肉を鍛えるメリットは?5つの筋肉をつける(鍛える)方法を解説
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私はこうしています:見過ごされがちな要素に注目する
私は階段の登り降りの際に、すねの前の筋肉と足裏の筋肉を意識するようにしています。
階段を登る時の大半はつま先立ちですが、着地の際に足の指で地面を掴むように力を入れます。また、脚を上げる際に足首を背屈させるようにすねの前側に力を入れます。
下る際は、足の裏全体で着地するのではなく、つま先から着地してその後かかとへ体重を移しできるだけ足にかかる衝撃を和らげるように気をつけています。
私もいい年齢です、階段の登り降りを張り切りすぎたために脚を痛めてできなくなってしまった… ということにはなりたくありません。今後も脚の筋肉(メジャーもマイナーも)を意識し、関節をいたわりながら階段の登り降りを継続し、健康を維持していきたいと思います。
おことわり
本記事は筆者個人の健康診断結果と経験に基づくものです。記載内容は一般的な医療アドバイスではなく、読者の皆様の健康状態については必ず医療専門家にご相談ください。また、本記事の情報は執筆時点のものであり、最新の医学的知見とは異なる可能性があります。