「朝がつらい」のは体内時計のせい?:40代から実感したリズムの乱れ
「朝、なかなか起きられない」「夜になるとつい目が冴えてしまう」。
そんな悩みを感じていませんか?
40代が近づき、私は明らかに “朝がつらい人” になっていました。
以前のようにスッと起きられず、夜更かし気味。睡眠リズムも乱れがちに。
そんなときに出会ったのが、“体内時計は本来25時間” という事実でした。
人間の体内には、地球の自転周期(24時間)とは微妙にズレた “リズム” がある。
このズレを放っておくと、日々の生活リズムも少しずつ狂っていくのだと知ったのです。
この記事では、「なぜ体内時計は25時間なのか?」という疑問を出発点に、
その “ズレ” を日々の生活でどうリセットしているのか──
私が40代から続けている「階段の登り降り習慣」とともに紹介します。
なぜ人間の体内時計は「25時間」なのか?

私たちの体には、「サーカディアンリズム(概日リズム)」と呼ばれる24時間周期のような生体リズムが備わっています。体温、血圧、ホルモン分泌、代謝、眠気や目覚めなど、あらゆる身体機能がこのリズムに基づいて日々繰り返されているのです。
しかし興味深いのは、何の刺激も与えずに自然のまま過ごすと、このリズムは「約25時間」になるという点です。
これは1960年代のミシガン大学・フランツ・ハルバーグ氏による実験や、ブラウン大学のトーマス・ウェイア教授による地下実験などで明らかになっています。
実験では、光のない地下室に被験者を数週間滞在させ、時計も日光も遮断した状態で自由に生活させたところ、ほとんどの人の睡眠・覚醒リズムが24時間ではなく、約24.2〜25時間周期でズレていくことがわかりました。
なぜ25時間になるのかは、遺伝子や脳内の働きに関係していると考えられています。特に、視床下部にある「視交叉上核(SCN:suprachiasmatic nucleus)」という部位が、いわば “マスタークロック” として体全体のリズムをコントロールしています。
このSCNが自然に刻むリズムが、24時間よりわずかに長く、ズレやすいのです。
ただし私たちは、外界の “地球の24時間周期” と生きています。だからこそ、光・食事・活動などの刺激によってこのズレを毎日微調整していく必要があります。
つまり、人間の体はもともとズレやすい構造を持っているという前提に立って、自分のリズムを「整える行動」が必要だということなのです。
出典:Circadian Rhythms in Man – Science, 1965年6月11日 論文
概日リズム睡眠・覚醒障害
視交叉上核と概日リズム睡眠覚醒障害
放っておくとどうなる?:体内時計のズレがもたらすもの

体内時計が1日1時間ずつズレていく──それをそのままにしておくと、日常生活にさまざまな支障が出てきます。私が体験したのは、こんな変化でした:
- 朝起きるのがとにかくつらい(寝ても疲れが取れない)
- 昼間の集中力低下や眠気
- 夜になると逆に頭が冴えて寝つけない
- 食事の時間が乱れ、間食や夜食が増える
- 体重が増え、脂肪が落ちにくくなる
これは単なる “生活の乱れ” ではありません。体内時計と代謝・自律神経の密接な関係に起因する、医学的な現象なのです。
実際に、体内時計のズレが肥満・2型糖尿病・高血圧などのリスクを高めることは数多くの研究で示されています。
中でも現代人に増えているのが、「ソーシャル・ジェットラグ」と呼ばれる状態です。
これは、平日は仕事や家事で早起きしているのに、休日は遅く起きて夜更かししてしまう…というように、“社会の時間” と “自分のリズム” がズレることにより、慢性的な軽い時差ボケ状態になる現象です。
このズレが蓄積すると、睡眠の質やホルモン分泌が乱れ、日中の活動効率や感情コントロールにも影響を与えるようになります。
私自身、休日の「寝だめ」や夜更かしを繰り返すうちに、月曜の朝が本当に地獄のようになっていました。まさに現代的な “リズム障害” です。
出典:体内時計
社会的時差:現状と課題
2 型糖尿病及び耐糖能異常患者における概日リズムと 糖・脂質代謝との関連
Evaluating the Relationship between Circadian Rhythms and Sleep, Metabolic and Cardiovascular Disorders: Current Clinical Evidence in Human Studies
どうすればリセットできる?:光と運動が鍵

体内時計が本来25時間でズレやすい──
ならば、それを毎日 “24時間サイクル” に戻していく必要があります。
この「リセット」の主な方法は、以下の2つです:
- 朝の光を浴びること
- 適切なタイミングでの運動(特に朝の運動)
朝の光で「今日の時間」を知らせる
人間の体内時計の “同期スイッチ” として最も重要なのが、「光」です。
特に朝の強い自然光には、視神経を通じて脳の視交叉上核(SCN)へ信号を送り、メラトニン分泌を抑制し、覚醒を促進する効果があります。これにより、「今が朝だ」「新しい1日が始まった」と体が認識するのです。
スマホのブルーライトでは不十分で、太陽光のように10,000ルクス程度の明るさが理想的。起床後30分以内にカーテンを開け、10分以上光を浴びるだけでもリズムが整いやすくなります。
運動が「時計遺伝子」に働きかける
そしてもう1つ、意外に見落とされがちなリセット法が「運動」です。
近年の研究では、運動が体内時計に関わる時計遺伝子(Clock, Bmal1 など)の発現を調整することが明らかになってきました。
運動のタイミングにより、体温・血圧・ホルモンの分泌リズムにも影響が及びます。
特に有酸素運動を「朝〜午前中」に行うと、自律神経が整いやすく、夜間のメラトニン分泌もスムーズになると報告されています。
また、運動による代謝活性化(特にEPOC効果:運動後過剰酸素消費)も、体内のエネルギー収支リズムを調整し、1日の “オン・オフ” が明確になります。
私自身、「朝の光」と「朝の階段昇降」を習慣化することで、まさにこのリセット効果を実感しました。
次章では、その体験談を詳しく紹介します。
出典:How to Balance Circadian Rhythms
Circadian rhythm
Phase response curve
Effects of exercise on circadian rhythms in humans
私の習慣:朝の階段昇降が “ズレを整える儀式” に

私は、もう10年以上「階段の登り降り」を生活に取り入れています。
もともとは昼休みや休日の午後など、空いた時間に行う “手軽な運動” として始めたのがきっかけでした。通勤先や出先で見つけた階段を使い、体を動かす。それが無理なく続けられて、いつしか日常の一部になっていました。
そんな階段習慣を “朝の時間” に切り替えたのは、ここ1年ほどのことです。
朝活への切り替えがもたらした変化
40代に入る頃、「朝がつらい」「夜に寝つけない」「日中ぼんやりする」といった不調を感じるようになっていました。
そんな中で出会ったのが、「朝の光と運動が体内時計のリセットに効果的」という研究。
それなら、すでに続けている階段運動を “朝にやってみよう” と思い立ったのです。
特別な器具や施設は不要。身近な階段を使って、40〜50分ほど登り降りをする ── それが、私の “朝活” の始まりでした。
徐々に整っていくリズムの実感
最初は眠気の残る朝に体を動かすのが正直しんどかったです。
ですが数日続けるうちに、
と、じわじわ変化を感じるように。
そして何より、夜になると自然に眠くなり、深く眠れる日が増えてきました。
朝の階段登り降りが、乱れがちな私の “体内時計” を少しずつ整えてくれている──
そんな実感が、日を追うごとに確信へと変わっていきました。
朝の階段が、身体と心の “スイッチ” になる
階段を一段ずつ登るうちに、まだ眠っていた身体が目覚めていく。
下りるうちに、今日の気分や集中力にスイッチが入る。
今ではこの朝の時間が、私の「一日を整えるリセット儀式」になっています。
生活の中にある “身近な階段” だからこそ、気負わずに続けられる。
その積み重ねが、自分のリズムと向き合う大きな力になると、私は実感しています。
こんな人におすすめです

「階段の登り降りを朝に行うだけで、体内時計が整うなんて本当?」
そう思われるかもしれません。けれど、私自身がそれを実感した今、声を大にして伝えたいです。
この習慣は、特にこんな方におすすめです:
- 朝が苦手で、毎日バタバタしている方
- 夜になると目が冴えて眠れない方
- 睡眠の質を自然に改善したい方
- 在宅やデスクワーク中心で、生活リズムが乱れがちな方
- ジムやスポーツが苦手でも、無理なく体を動かしたい方
階段の登り降りは、時間も場所も選ばない “最小単位の運動” です。
そして朝という時間帯に行うことで、「光×運動」の効果が合わさり、体内時計がリセットされていきます。
たったの一段一段が、心地よい一日への第一歩になる──
そんな体験を、ぜひあなたにも味わってほしいと思います。
まとめ:ズレる体内時計を、階段で “自然に整える”

人間の体内時計は、本来「25時間」。
私たちは、知らず知らずのうちに毎日ズレを積み重ねてしまっています。
このズレを戻すカギは、毎朝の“光”と“運動”。
それを、わざわざ時間や場所を作らずに自然に取り入れられるのが、「階段の登り降り」でした。
私自身、10年近く階段昇降を続けてきましたが、
朝に切り替えたここ1年ほどで、リズムの整い方がまったく変わったと感じています。
これは一朝一夕ではなく、“生活の中の習慣” がもたらしてくれたものです。
あなたも、今日から一段ずつ
朝がつらい。夜に眠れない。生活リズムが整わない──
そんなお悩みがある方は、まず “階段” を見つけてみてください。
通勤先でも、自宅でも、最寄りの施設でも構いません。
ほんの5分でも、10分でも、生活の中に「登って、降りる」時間を入れてみる。
その積み重ねが、きっとあなたの “24時間” を整える力になります。
おことわり
本記事は、筆者自身の体験や調査に基づいて執筆しています。
記載された内容は健康や生活改善に役立つ可能性がありますが、すべての方に当てはまるとは限りません。
医学的な診断・治療・処方を行うものではなく、体調に不安がある方は必ず医師や専門家にご相談ください。
また、記事中で紹介した研究や理論は、執筆時点で信頼できる情報源をもとにしていますが、学術的・医学的には今後見解が変わる可能性もあることをご理解ください。
本記事で使用した画像はNapkin AIを利用しています。
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