階段の登り降りは何メッツ? メッツ表と自身の運動記録を比べてみました
私はこれまでダイエットのため、健康のために階段の登り降りを続けてきました。
階段の登り降りは、日常生活の中で手軽に取り入れられる効果的な運動です。しかし、その運動強度がどれほどのものか、具体的に把握している人は少ないのではないでしょうか?
そこで注目したいのが「METs(メッツ)」という指標です。METs(Metabolic Equivalents)とは、安静時の何倍のエネルギーを消費しているかを示す単位で、運動の強度を客観的に評価するのに役立ちます。
本記事では、階段の登り降りのMETs値を公式のメッツ表と比較しながら、階段の登り降りが、いかに効果的・効率的な運動であるか解説します。みなさまにとっての継続できる運動のヒントとなればうれしいです。
メッツ(METs: Metabolic Equivalents、代謝当量)とは
メッツの概念は、身体活動の強度を表す指標として広く用いられています。これは特定の機関が設定したものではなく、運動生理学や健康科学の分野で長年にわたって発展してきました。
安静時の状態を1メッツとし、それと比較して各運動が何倍のエネルギーを消費するかを示します。
- 普通速度の歩行:3 メッツ
- 階段下り:3.5 メッツ
- 階段上り(ゆっくり): 4 メッツ
- 階段上り(速く): 8.8 メッツ
この図は日本健康運動研究所のホームページから引用したメッツと負荷の関係を表す表です。
この表からは、6メッツを超えると高強度の運動とされており、階段の登り降りは、中〜強負荷の運動と言えるようです。
国が定める目標メッツ
厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド」を発表しており、この中でメッツを用いた身体活動量の推奨値を設定しています。(対象は成人:1 メッツの運動を1時間行ったとき、1 メッツ・時とする)
- 強度が 3 メッツ以上の身体活動を週 23 メッツ・時以上行うこと
→ 普通速度の歩行であれば、1日1時間 × 7日 - 強度が 3 メッツ以上の運動を 週 4 メッツ・時以上行うこと
→ 階段下りであれば、1時間10分程度
→ 階段の登り(速く)であれば、28分程度
メッツからカロリーへの換算
メッツ単位の運動量を消費カロリーに換算可能です。
体重70 kgの人が階段上り(ゆっくり)4 メッツを20分(1/3時間)行った場合、
4(メッツ) × 70(kg)× 0.33(時間) × 1.05 = 97.02(kcal)
体重70 kgの人が階段上り(速く)8.8 メッツを20分(1/3時間)行った場合、
8.8(メッツ) × 70(kg)× 0.33(時間) × 1.05 = 213.44(kcal)
となります。
自身の運動記録からメッツを逆算
私は普段の階段上り下りの際にスマートウォッチを用いて運動を記録しています。
この図はスマートウオッチと連動したアプリに記録された運動記録の1例です。
上記の式を用いてこの運動のメッツを計算してみると、
329(kcal)÷ 70(kg)÷ 0.63(時間)÷ 1.05 = 7.1(メッツ)
となります。これは階段の登り/下りを平均したメッツを表します。
この運動を週3回行うと、
7.1(メッツ)× 0.63(時間) × 3(回/週) = 13.4(メッツ・時/週)
となり、上記の『強度が3 メッツ以上の運動を週4 メッツ・時以上行うこと』の3.4倍程度で十分な運動量であると言えます。
これらから、この階段登り降りは週2時間程度で推奨運動時間の3.4倍の運動ができるため、非常に効率の良い運動であると言えます。
1回あたりの運動時間が0.63時間(38分)では長いと感じるようであれば、半分の19分を週6回行うことも良さそうです。
みなさんそれぞれに合い、継続できる運動を見つけましょう
ここまで私の階段登り降り運動を例に、メッツの観点から階段運動の効果・効率性について述べてきました。この記事を通して『みなさん、階段で運動しましょう!』とお伝えするつもりは全くありません。たまたま私には階段登り降りが “ハマり” 、続けて来られましたが、みなさまにはそれぞれ合う運動があると思います。
『自分にとって心地良く少しだけキツい運動』を、『いかに見つけるか、いかに継続するか、日常茶飯事にするか』が重要だと思います。
『身体活動のメッツ(METs)表』を参考に、ご自身に合う運動を探してみると良いかもしれません。
おことわり
本記事は筆者個人の健康診断結果と経験に基づくものです。記載内容は一般的な医療アドバイスではなく、読者の皆様の健康状態については必ず医療専門家にご相談ください。また、本記事の情報は執筆時点のものであり、最新の医学的知見とは異なる可能性があります。