40代が気になる『オートファジー』は何時間から始めるべき?
40代になると、代謝の低下や体重の増加、肌や体調の変化が気になりはじめます。そんな中で注目されているのが、細胞のお掃除システム「オートファジー」。断食(ファスティング)を一定時間続けることでスイッチが入り、ダイエット効果や老化予防に役立つと話題になっています。
一方で、検索してみると「オートファジーは何時間から?」「毎日やっていいの?」「コーヒーやお茶は飲んで大丈夫?」といった疑問や、無理をするとリスクはないのかと心配する声も少なくありません。特に仕事や家庭で忙しい40代にとっては、体調を崩さず、続けやすい方法が知りたいところです。
本記事では、診療放射線技師である筆者が、自ら実践して感じた体調の変化を交えながら、以下のポイントをわかりやすくまとめます。
- オートファジーが始まるのは何時間からか
- 40代が無理なく続ける頻度の目安
- 断食中に飲んでよいもの・避けるべきもの
- 気をつけたいリスクやトラブル
- 実体験から得た工夫や習慣
「やせたいけど、極端な断食は不安」「老化をゆるやかにしたいけど無理はしたくない」という方に、シンプルで現実的に続けられるオートファジー生活をご提案します。
結論:オートファジーは14〜16時間から、週2〜3回で十分

オートファジーは、一般的に食事を断ってから14〜16時間ほど経過するとスイッチが入るといわれています。つまり、夕食を19時に終えた場合、翌日の昼9〜11時頃に効果が期待できる計算です。
ただし、毎日長時間の断食を続ける必要はありません。特に40代は基礎代謝やホルモンバランスの変化があり、無理をすると体調を崩しやすいため、週2〜3回からの実践がおすすめです。
また、断食中に飲んでよいのは「水・ブラックコーヒー・無糖のお茶」など。逆に砂糖や乳製品、人工甘味料入りの飲み物はオートファジーの働きを妨げる可能性があります。
オートファジーには「細胞の老廃物を掃除する働き」があり、ダイエットだけでなく、肌・腸内環境・疲労回復のサポートにもつながります。一方で、頭痛・便秘・低血糖といったトラブルもあり、妊娠中・授乳中・持病がある方は控えるべきです。
私自身も40代で試したところ、「朝の空腹時間に軽い運動を組み合わせると集中力が上がった」「以前より体調が安定した」と実感できました。ポイントは、完璧を目指さず、生活に合わせて無理なく取り入れることです。
オートファジーとは?(やさしく解説)

細胞のお掃除システムとは
オートファジー(autophagy)は、ギリシャ語で「自分(auto)を食べる(phagy)」という意味を持ちます。
細胞が古くなったタンパク質や壊れたミトコンドリアを分解・再利用する仕組みで、体内のリサイクル工場のような役割を果たしています。
この働きにより、
- 老化を遅らせる
- 細胞を健全に保つ
- 疲労回復や代謝の効率改善につながる
と考えられています。
出典:Autophagy
Autophagy in healthy aging and disease
Mitophagy
Autophagy: A Critical Regulator of Cellular Metabolism and Homeostasis
ノーベル賞で注目された背景
2016年、東京工業大学の大隅良典教授が「オートファジーの仕組みの発見」でノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
これをきっかけに、「断食」や「ファスティング」によってオートファジーを活性化できる可能性があると注目され、一般にも広まりました。
出典:Nobel Prize in Physiology or Medicine 2016
健康・老化・体重コントロールとどう関わる?
オートファジーは細胞の健康維持だけでなく、肥満・糖尿病・神経疾患など生活習慣病との関連も研究されています。
例えば、マウス実験ではオートファジーが抑制されると肝臓に脂肪が蓄積しやすくなることがわかっています(参考:Mizushima & Komatsu, Cell, 2011)。
また、人間の研究では「断続的な断食(インターミッテント・ファスティング)」によって体重減少や血糖コントロールの改善が報告されています(参考:New England Journal of Medicine, 2019, “Effects of Intermittent Fasting on Health, Aging, and Disease” https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra1905136)。
つまりオートファジーは、単なるダイエット効果にとどまらず、40代以降の老化予防や生活習慣病対策にも関わる可能性があるといえるのです。
出典:Functions of autophagy in normal and diseased liver
Role of autophagy in the pathophysiology of nonalcoholic fatty liver disease: A controversial issue
Autophagy in Hepatic Steatosis: A Structured Review
Benefits of Intermittent Fasting and How It Works
Effect of intermittent fasting 16:8 and 14:10 compared with control‐group on weight reduction and metabolic outcomes in obesity with type 2 diabetes patients: A randomized controlled trial
Benefits of Intermittent Fasting and How It Works
何時間から始まる?

一般的には14〜16時間目安
オートファジーは、空腹が続くことで活性化すると考えられています。
具体的には 食事を断ってから14〜16時間ほど経過するとスイッチが入るというのが一般的な目安です。
例えば、夕食を19時に終えた場合、翌日の朝食を抜いて昼9〜11時頃にようやくオートファジーが働き始める計算です。
この「14〜16時間」という数字は、多くの断続的断食(Intermittent Fasting, IF)研究で採用されている時間帯でもあります。
20時間・24時間断食との違い
「より長く断食した方が効果があるのでは?」と気になる方もいるかもしれません。
確かに、20時間や24時間以上の断食では、脂肪酸の分解やケトン体産生がより強く働き、オートファジーがさらに促進される可能性が示唆されています(参考:Science, 2009, “Autophagy and human disease”)。
ただし、長時間断食は低血糖・強い空腹感・集中力の低下を招きやすく、40代以降の生活習慣に無理なく取り入れるのは難しいことが多いです。
健康維持やダイエット目的なら、まずは14〜16時間を目安にするのが現実的です。
出典:The 20 Hour Fast: Benefits and How To
Long-Term Fasting-Induced Ketosis in 1610 Subjects: Metabolic Regulation and Safety
5 Health Benefits of a 20-Hour Fast
個人差(睡眠・運動・体格による)
オートファジーがいつから始まるかは、個人差もあります。
- 睡眠時間が長い人 → 比較的楽に断食時間を稼げる
- 運動をしている人 → エネルギー消費が増え、早めにスイッチが入る可能性あり
- 体格や代謝が高い人 → グリコーゲン消費が早く、開始が前倒しされることも
逆に、普段から間食が多い人や糖質摂取が多い人は、肝臓のグリコーゲンが枯渇するまで時間がかかり、オートファジーの発動が遅れる場合があります。
したがって、「〇時間で必ずオートファジーが始まる」というよりも、14〜16時間が一般的な目安であり、体質や生活習慣で前後すると理解するのが正しいアプローチです。
まずは12時間断食から始めてもOK
「いきなり16時間はハードルが高い…」という方は、12時間断食(Time-Restricted Eating, TRE) から始めても十分意味があります。
例:
- 夜19時に夕食 → 翌朝7時に朝食
- 夜20時に夕食 → 翌朝8時に朝食
これだけでも「夜食をやめる」「胃腸を休ませる」といったメリットがあり、体重や血糖コントロールの改善が報告されています。
実際に、米国の研究では12時間の食事制限でも血圧や血糖が改善する例が確認されています。
そのため、まずは「12時間 → 慣れたら14〜16時間」と段階的に伸ばしていくのがおすすめです。これなら無理なく続けられ、オートファジーを意識した生活にスムーズに移行できます。

出典:Ten-Hour Time-Restricted Eating Reduces Weight, Blood Pressure, and Atherogenic Lipids in Patients with Metabolic Syndrome
Time-restricted feeding improves blood glucose and insulin sensitivity in overweight patients with type 2 diabetes: a randomised controlled trial
頻度・続け方の目安

毎日やるべき? 週何回?
オートファジーは「毎日やらなければ効果が出ない」というものではありません。
研究によると、断続的断食(Intermittent Fasting, IF)を週に数回取り入れるだけでも体重や血糖値に改善が見られるケースがあります。
たとえば、5日間は通常の食事・2日間はカロリー制限を行う「5:2ダイエット」や、1日おきに断食を行う「隔日断食」などが報告されています。
つまり、毎日ストイックに行わなくても、週2〜3回の実践で十分にメリットが得られると考えられています。
出典:A 5:2 Intermittent Fasting Meal Replacement Diet and Glycemic Control for Adults With Diabetes: The EARLY Randomized Clinical Trial
The 5:2 Diet Affects Markers of Insulin Secretion and Sensitivity in Subjects with and without Type 2 Diabetes—A Non-Randomized Controlled Trial
Effects of intermittent (5:2) or continuous energy restriction on basal and postprandial metabolism: a randomised study in normal-weight, young participants
40代におすすめの頻度(週2〜3回から)
特に40代は、基礎代謝の低下やホルモンバランスの変化が始まる時期。毎日の長時間断食は体調不良につながることもあります。
そのため、まずは週2〜3回・14〜16時間断食から始めるのがおすすめです。
例えば:
- 月・木は夕食を19時に済ませ、翌日昼まで食事を抜く
- それ以外の日は通常通り食べる
- 週末は家族と一緒に食事を楽しむ
このように「やらない日」をあえて設けることで、無理なく続けられます。
無理なく続ける工夫(朝活・軽い運動)
断食時間を快適に過ごす工夫も大切です。
- 水やブラックコーヒーで空腹を和らげる
- 朝に軽い運動(散歩・階段昇降など)を組み合わせることで脂肪燃焼を促進
- 就寝前に食べすぎないことで翌朝の空腹を楽にする
また、断食明けの食事では、急に糖質や脂っこいものを大量に食べず、タンパク質・野菜・発酵食品を中心に整えると体への負担が少なくなります。
食べていい物・飲んでいい物

OK(ブラックコーヒー・水・無糖茶)
断食中でもカロリーや糖質をほとんど含まない飲み物は、オートファジーの働きを妨げないとされています。
- 水(常温・炭酸水OK)
- ブラックコーヒー(砂糖・ミルクなし)
- 無糖の緑茶・紅茶・ハーブティー
ブラックコーヒーに含まれるカフェインやポリフェノールは、脂肪燃焼や代謝促進にも関わる可能性が報告されています。
出典:Coffee consumption and health: umbrella review of meta-analyses of multiple health outcomes
NG(砂糖・乳・人工甘味料入り)
以下の飲み物・食べ物は断食中には避けるべきです。
- 砂糖入りのジュースやスポーツドリンク
- ミルクやクリーム入りコーヒー
- 人工甘味料入り飲料(ゼロカロリーコーラなど)
人工甘味料はカロリーが少なくてもインスリン応答や腸内細菌への影響が指摘されています。
出典:Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota
迷いやすい飲み物(トマトジュース、スムージー、バターコーヒー)
断食中に迷いやすいのが「健康飲料」とされるものです。
- トマトジュースや野菜ジュース:
- → 糖質が含まれるため、オートファジーを阻害する可能性あり
- スムージー:
- → ビタミンは豊富でも糖分が多いためNG
- バターコーヒー:
- → ケトジェニックダイエットでは使われるが、断食中に摂ると純粋なオートファジー効果は弱まる
健康に良さそうでも「カロリーや糖質を含むものはNG」と覚えるとわかりやすいでしょう。

栄養サポートとサプリは必要?

断食 “中” は基本サプリ不要
オートファジーを働かせたい断食中は、余計な栄養やカロリーを入れないことが原則です。
水・ブラックコーヒー・無糖茶以外を摂ると、インスリン分泌や代謝スイッチに影響を与える可能性があります。
そのため、断食中にビタミン剤やプロテインを摂る必要はありません。
食事時に取り入れたい栄養素(ビタミン・ミネラル)
断食明けの食事では、欠乏しやすい栄養素を補うことが大切です。
特に40代では、代謝や疲労回復をサポートする以下の栄養素がポイントです。
- ビタミンB群:糖質・脂質の代謝を助ける
- マグネシウム・亜鉛:筋肉・神経機能をサポート
- 食物繊維・発酵食品:腸内環境を整え、便秘予防に有効
断食明けは血糖値が上がりやすいので、まずは野菜やタンパク質を摂り、その後に炭水化物を食べると血糖コントロールが安定します。
出典:What to Eat After Fasting (and What to Avoid), According to a Dietitian
The Top 7 Nutrients to Support Gut Health, According to Dietitians
What to eat after fasting: The best foods to add to your diet
話題のサプリ(NMN・スペルミジンなど)と注意点
近年は「若返りサプリ」としてNMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)やスペルミジンが注目されています。これらはオートファジー関連の研究でも取り上げられていますが、ヒトでの臨床エビデンスはまだ限定的です。
- NMN:NAD⁺を増やし、細胞のエネルギー代謝をサポートする可能性
- スペルミジン:動物実験で寿命延長効果が報告
ただし、これらはあくまで「補助」。断食そのものの効果を置き換えるものではありません。
気になる方は、比較記事で成分・価格・安全性を確認すると安心です。


出典:NAD+ metabolism and the control of energy homeostasis – a balancing act between mitochondria and the nucleus
New Insights into the Roles and Mechanisms of Spermidine in Aging and Age-Related Diseases
よくあるトラブルとリスク

頭痛・便秘・低血糖・眠気
オートファジーを目的とした断食を始めると、最初のうちは体が慣れていないため不調が出ることがあります。
- 頭痛:
- カフェイン不足や血糖値の変動によるもの。水分をしっかり摂ると軽減することが多いです。
- 便秘:
- 食事量が減ることで腸の動きが鈍る場合があります。食事再開時に野菜や発酵食品を取り入れましょう。
- 低血糖・眠気:
- 特に糖質中心の食生活を送っていた人は血糖の上下動が大きくなりやすいため、注意が必要です。
米国国立衛生研究所(NIH)のレビューでも、断食開始時にこれらの副作用が起こることが報告されています(参考:National Institute on Aging, “Intermittent fasting: What is it, and how does it work?” https://www.nia.nih.gov/news/intermittent-fasting-what-it-and-how-does-it-work)。
出典:Intermittent Fasting: Benefits, Side Effects, Quality of Life, and Knowledge of the Saudi Population
Intermittent fasting
効果が出ない・停滞期の理由
「始めたのにやせない」「効果を感じない」と悩むケースもあります。
主な理由は次の通りです。
- 食事の時間に食べすぎてしまっている
- 糖質中心で血糖値が乱れやすい
- 睡眠不足や運動不足で代謝が低下している
断食時間だけに注目するのではなく、食べ方・睡眠・運動習慣をトータルで見直すことが大切です。
禁忌(妊娠・授乳・持病・薬)
オートファジー断食は、すべての人に安全というわけではありません。
以下の場合は避ける、もしくは必ず医師に相談してください。
- 妊娠・授乳中の方
- 糖尿病など血糖コントロールに関わる持病がある方
- 薬を常用している方(特にインスリン、降圧薬など)
イギリス国民保健サービス(NHS)でも、糖尿病患者や妊娠中の方には断食を推奨しないと明記されています。
出典:Intermittent fasting
Intermittent fasting
私の習慣(体験談)【12時間断食ベース】

12時間断食を続けている理由
私自身は、現在およそ12時間ごとに食事をする生活を続けています。
具体的には、夜18時に夕食を終えたら翌朝6時までは何も食べない、というシンプルな方法です。
世の中では「16時間断食」が注目されていますが、私には生活や体調のリズムを考えると12時間がちょうど良いと感じています。
体感できたメリット
- 胃腸の休息:夜遅くに食べないため、朝の胃の重さがなくなった
- 体重管理:以前より体重の増減がゆるやかになり、リバウンドしにくい
- 睡眠:夜の消化負担が減り、寝つきが良くなった
- 集中力:朝の仕事や勉強にスッと入れる感覚がある
大きくやせる効果はないものの、体調の安定や生活リズムの改善には大きな効果を実感しています。
階段昇降との組み合わせ
朝の空腹時間に軽く階段の登り降りを行うと、血流が良くなり空腹感が和らぐのを感じます。
特にデスクワークが多い私にとっては、運動不足解消の良い習慣になっています。
読者へのメッセージ
もし「16時間は長すぎて無理そう」と感じる方は、まずは私のように12時間断食から始めるのがおすすめです。
それだけでも胃腸の休息や睡眠の質改善といったメリットを感じられますし、慣れたら14時間以上に挑戦する選択肢もあります。


まとめ:空腹を味方に、健やかな未来をつくる

オートファジーを活性化するには、14〜16時間の断食が一般的な目安です。
ただし、無理をして続ける必要はなく、まずは12時間断食からでも健康効果を感じられるケースがあります。
- 目安時間:14〜16時間(まずは12時間からでもOK)
- 頻度:週2〜3回からで十分
- 断食中に飲んでいい物:水・ブラックコーヒー・無糖茶
- NG:砂糖・乳製品・人工甘味料入り飲料
- リスク:頭痛・便秘・低血糖 → 不安があれば医師に相談
私自身も現在は12時間断食を継続しており、それでも胃腸の休息や睡眠の質改善などのメリットを実感しています。
大切なのは「完璧を目指さず、生活に合わせてシンプルに続ける」ことです。
FAQ
Q1. オートファジーは何時間から始まるのですか?
A. 一般的には14〜16時間でスイッチが入るとされますが、まずは12時間断食から始めても健康効果は期待できます。
Q2. オートファジー中に飲んでいい飲み物は?
A. 水・ブラックコーヒー・無糖茶はOKです。砂糖・乳製品・人工甘味料入りの飲み物は避けましょう。
Q3. オートファジー断食は毎日やるべきですか?
A. 毎日でなくてもOKです。週2〜3回からで十分効果が期待できます。
Q4. オートファジー断食のリスクや副作用はありますか?
A. 頭痛・便秘・低血糖などの不調が出る場合があります。妊娠中・授乳中・持病や服薬のある方は必ず医師に相談してください。
おことわり
本記事は、筆者自身の体験や国内外の研究報告をもとにまとめた情報です。
医療上の診断や治療を目的としたものではなく、効果や安全性を保証するものではありません。
断食(ファスティング)やオートファジーの実践は、体調や持病、生活習慣によって影響が異なります。
特に妊娠中・授乳中の方、持病のある方、薬を服用されている方は、必ず医師にご相談ください。
本記事の内容を参考にしたことによって生じたいかなる結果についても、筆者および当サイトは責任を負いかねます。あくまで自己判断・自己責任にてご利用ください。
本記事で使用した画像はNapkin AIを利用しています。
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