骨密度を測る側の私が、16年ぶりに自分の骨を測った日:階段の登り降り11年、骨は減っていなかった

階段に座り、腕を膝に置いてかかとを段に乗せた人のイメージ(腕とかかとの骨)
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  • 自分の骨を、測ったことがありますか。

私は骨密度の画像を撮る側に、
26年います。

骨の画像を撮り、
数字を確認し、
結果を手渡す。

その人が安心した顔で帰るのか、
少し黙って帰るのかを、
ずっと見てきました。

けれど自分の骨は、16年前に一度きり。

それも、たまたま測る機会があっただけでした。

測る側にいると、
受ける側に回る理由は、
なかなか見つからないものです。

先日また、たまたま同じような機会がありました。

11年の階段登り降りと、
13 kgの減量を挟んで、
同じ装置で測った数字を並べてみます。

増えたのか、
減ったのか。

答えは、そのどちらでもありませんでした。

目次

測る側にいて、測っていなかった

朝の階段を見上げる人のイメージ(16年ぶりに骨を測る前の静かな時間)

骨密度の測定は、私の職場では日常です。
来るのは、ほとんどが女性です。

閉経のあと、骨は急に減りやすくなるからです。

40代の男性が、自分の骨を測る理由は、
ふつうはありません。

私も、ありませんでした。

16年前、33歳のときに一度だけ、
たまたま測る機会がありました。

今回も、たまたまでした。
装置を開くと、2010年10月29日の記録が
そのまま残っていました。

その16年のあいだに、
体重はいったんさらに増え、
いちばん重い時期を迎えました。

そこから私は日々、
身近な階段を登り降りするようになり、
体重を 13 kg 落として、今に至ります。

つまり前回と今回のあいだで、
骨は増える体重と減る体重の両方を
通ってきたことになります。

骨は、折れてから気づくことが多い臓器です。

大腿骨の骨折が、歩けなくなる入口になるのを、
現場で何度も見てきました。

だから「減っていないか」だけは、
一度、確かめておきたかったのだと思います。

同じ日に、2つの装置で測った

前腕DXAとかかと超音波の測定部位と位置づけを比べた図解

その日は、2種類の装置で測りました。


ひとつは前腕の DXA(デキサ)。

弱い X線を 2種類使って、
前腕の骨の、手首に近い部分を測ります。
外側の硬い層が多い骨で、
日常で体重はほとんど乗りません。


もうひとつは、かかとの超音波です。

音の速さと減りかたから骨の状態を推定します。

X線は使いません。
かかとは、日々いちばん体重が乗る骨です。


測る側として、先に断っておきます。
この 2つは、同じものを測っていません。

診断の中心になるのは、
腰椎と大腿骨の DXA です。

前腕の DXA も診断に使える部位ですが、
かかとの超音波は “目安” の位置づけで、
診断には用いられません。

日本の診断基準では、
若い成人の平均値(YAM)と比べて、
70 % 以下が骨粗鬆症、
70〜80 % が骨量減少とされています。

ただし 50歳未満の男性については、
国際的な学会の指針は少し違う見方をします。

同じ年齢の平均と比べた値(Z スコア)で見ること。
そして、骨密度の数字だけで骨粗鬆症と診断しないこと。

私は 49歳です。
ぎりぎり、こちらの側にいます。

出典:骨粗鬆症の診断と治療
ISCD Official Positions – Adult
骨密度の検査と測定法

16年前の数字と並べる

16年前と今の前腕骨密度の比較と測定誤差の関係を示す図解

前腕の結果です。

2010年10月2026年10月
年齢33歳49歳
体重約 75 kg70 kg
骨密度(g/cm²)0.7740.789
若年成人平均比(YAM)100 %102 %
同年齢平均比100 %103 %

年間の変化率は、+0.11 %。

かかとの超音波は、
若年成人比 108 %、
同年齢比 111 %、
判定は「異常なし」でした。

ここで、言葉を選びます。

0.774 から 0.789 へ。
差は 1.9 % です。
これを「増えた」と書くことは、
測る側として、できません。

どんな装置にも、測るたびのぶれがあります。

学会の指針では、変化が本物だと言えるのは、
施設ごとに決めた “最小有意変化” を
超えたときだけです。

前腕のそれは、おおむね数 % の幅になります。
1.9 % は、その内側にいます。

だから正しい言い方は、こうです。

16年のあいだ、骨は減っていなかった。

増えていない、と読むこともできます。

それでも私には、十分でした。

13 kg落として、骨が減らなかったという事実

加齢と減量という2つの不利な条件と横ばいの骨密度を表す図解

減っていなかった、の重さを、
少し説明させてください。

この16年、私の骨には
不利な条件が 2つ重なっていました。


ひとつは年齢です。

40〜79歳の男性 514人を約4年追った研究では、
前腕の骨密度は、
手首にいちばん近い部分で年に0.5 %、
骨幹に近い部分でも年に 0.1 % ずつ減っていました。

私が測った部位は、その中間にあたります。

単純に16年分を当てはめれば、
2〜8 % の幅で減っていてもおかしくない計算です。

研究の対象は私より年上の集団ですから、
そのまま当てはまるわけではありません。
それでも、減る向きは同じです。


もうひとつは、減量です。

食事による減量を扱った 41の研究をまとめた解析では、
股関節の骨密度がわずかに下がる傾向が示されました。

腰椎と全身では、はっきりした差はありませんでした。

年齢と減量。

どちらも、骨を減らす側に働きうるものです。

その 2つを通って、
腕の骨は横ばいでした。

階段の登り降りのおかげだ、とは言いません。

骨密度は、

遺伝、
栄養、
光、
いろいろなものの合算です。

そもそも腕の骨に、階段は乗っていません。

ただ、思い出した記事があります。

数字が止まったあとに、続ける意味はどこにあるのか。

合わせて読みたい

そのとき私は、意味は「上がる」から
「落ちない」へ移る、と書きました。

骨は、その言葉がいちばん似合う場所でした。

出典:Bone turnover predicts change in volumetric bone density and bone geometry at the radius in men
Does diet-induced weight loss lead to bone loss in overweight or obese adults? A systematic review and meta-analysis of clinical trials

登っていない腕は102 %、登っているかかとは108 %

階段を降りる足のかかとが着地する場面(毎朝体重を受け止めてきた骨)

ひとつ、問いだけ置いておきます。

体重の乗らない腕が 102 %。
毎朝、体重を受け止めてきたかかとが 108 %。

先に断ったとおり、
この 2つは方式も、比べる基準の集団も違います。

並べて「6 % の差」と言うことはできません。
測る側として、ここは譲れないところです。

それでも、向きは気になります。

骨は、かかった負荷に応えて作られます。

テニスやスカッシュの選手では、
ラケットを握る側の腕の骨量が、反対の腕より多いことが知られています。

使う場所の骨が、使う分だけ強くなる。

私のかかとは、11年、

日々、何千段ぶんの体重を受け止めてきました。

腕は、せいぜい手すりに軽く触れていただけです。

腕の骨が「減っていなかった」のは、
年齢と減量に耐えた結果かもしれません。

かかとの骨が「標準より上」なのは、
日々の負荷が届いていた結果かもしれません。

どちらも、かもしれない、で止めておきます。
答え合わせは、次の装置に任せます。

出典:Effect of starting age of physical activity on bone mass in the dominant arm of tennis and squash players

次の基準点

前腕・腰椎・大腿骨それぞれの基準点と次回比較の考え方を示す図解

いずれ、腰椎と大腿骨を測る機会も
巡ってきそうです。

診断の中心になる部位を、
自分の数字で知る日が来ます。

ただし、前腕と腰椎の数字は比べません。
部位が違えば、別の数字です。

健診の LDL を、冬と夏で比べてはいけないのと
同じ理屈です。

比べるなら、同じもの同士。

前腕は来年、同じ装置でもう一度。
腰椎と大腿骨は、入った年を基準点にして、
そこから先を見ていきます。

骨の話は、これまでにも何度か書いてきました。

階段昇降で骨を強くする方法では、
骨に刺激が届く理屈を。

合わせて読みたい

オステオカルシンと
骨と脳のつながりでは、
骨が出す物質の話を。

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どれも、理屈の側から書いた記事でした。

自分の数字を置いたのは、今回が初めてです。

13 kg のうち、何を落として何を残したかは、
BMI 27.4 から 23.7 への記録に並べてあります。

合わせて読みたい

骨は、その「残したもの」の欄に
静かに加わりました。

まとめ:減らないことを、静かに確かめる

静かな朝の階段を登っていく人の後ろ姿(減らないことを確かめて、また登る)

測る側に26年いて、
自分の骨は16年ぶりでした。

増えてはいない。
けれど、減ってもいなかった。

年齢と 13 kg の減量を挟んで、です。

骨は、落ちてから気づくことが多い。

だから落ちる前に、基準点をひとつ置いておく。

40代の男性には、測る理由がない、
と言われる年齢だからこそ。

来年、同じ装置の前に、
また腕を置きに行きます。


階段が身体にどう効くのかは、
『なぜ階段は効くのか』にまとめています。


日々の小さな記録は、noteのマガジンにも静かに綴っています。

ひのとみのいしころ|静かに熱い40代の記録

おことわり

本記事は情報提供を目的としており、特定の効果・効能を保証するものではありません。

健康に関するご判断は、必ず医師・専門家にご相談ください。

本記事で使用した画像はNapkin AIを利用しています。

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