脂肪を “ためない” 体づくりは、習慣と循環でつくれる
40代に入り、若い頃とは明らかに変わってきた体の感覚。特に気になるのが、食べる量はそこまで変わらないのに「脂肪が溜まりやすく、落ちにくい」体質になってきたことでした。
そんな中で出会ったのが、階段の登り降りというシンプルな運動と、12時間空ける食事習慣の組み合わせ。
無理な運動や極端な食事制限をせず、日常生活の中で自然と代謝を高めていくことで、私は13 kgの減量に成功しました。
でも、その成功の裏には、ただ「燃やす」だけではなく「ためない体づくり」の視点がありました。
食べたものがきちんと使われ、次に備えられる――そんな “循環” を日々の生活に取り入れることで、体は確実に変わっていきます。
今回は、私が意識してきた「体内ローリングストック」という視点と、それを支える習慣としての階段登り降り、12時間ごとの食事法、そして軽いデトックスのすすめについて、詳しくご紹介します。
脂肪を “ためない” 体づくりは、習慣と循環でつくれる。
だからこそ、今日から一段ずつ、始めてみませんか?
階段の登り降り+12時間空ける食事法の基本

私が13 kg減を達成できた大きな要因は、「階段の登り降り」と「12時間空ける食事」の組み合わせにありました。
階段の登り降りは、見た目以上に効果の高い運動です。実際、私は身近にある地上6階分の階段を使って、1日数往復するだけの習慣からスタートしました。はじめのうちは息が上がり、脚も張りましたが、1週間、2週間と続けるうちに明らかに脚力がついてくるのを感じました。
この運動の大きなポイントは、EPOC(運動後過剰酸素消費)という仕組みを利用している点です。つまり、運動が終わったあとも体は“回復のためにエネルギーを消費し続ける”ため、脂肪燃焼が持続するというわけです。
そして、もう一つの柱が「12時間空ける食事習慣」。これは1日2食、あるいは夕食から朝食までを12時間以上空けることで、体内のグリコーゲン(糖の貯蔵)が枯渇し、脂肪がエネルギー源として使われやすくなるという仕組みです。
この2つのアプローチを掛け合わせた時、私の中で「代謝のスイッチ」が明確に切り替わったのを感じました。体温が少し上がったように感じたり、空腹感に対しての耐性がついてきたりするなど、体の中で何かが “切り替わる” ような感覚でした。


なぜ「砂糖と脂」が体に溜まりやすいのか?

現代の食生活を振り返ってみると、「砂糖」と「脂」が私たちの生活にあふれていることに気づきます。意識して避けているつもりでも、外食や加工食品、間食などの中に、それらはごく自然に、そして当たり前のように潜んでいます。
特に40代以降になると、代謝のスピードは確実に落ちてきます。これは筋肉量の減少やホルモンバランスの変化、日常的な活動量の減少などが影響しています。若いころなら多少食べ過ぎてもすぐにリセットできた体が、今では “受け入れて溜め込む” 方向に変わってきているのです。
私自身の経験でも、「ちょっと甘いものをつまんだだけ」のつもりが、翌朝体が重く感じられたり、お腹まわりにむくみが残ったりするようになりました。特に夜遅い時間に糖質や脂質を摂取した場合、その影響は翌朝の目覚めや体調に如実に現れます。
たとえば、夕食後に無意識に口にしていた「小さなチョコ」や「スナック菓子」。これらは一見すると大した量ではありませんが、1日3回の食事に加えて血糖値を上げる回数が増え、結果としてインスリンの分泌も頻繁になります。インスリンは “余ったエネルギーを脂肪に変えて蓄える” ホルモン。つまり、頻繁な間食は体に「貯めこみモード」のスイッチを何度も入れているようなものなのです。
また、「脂肪は悪者」と思われがちですが、実は質の悪い脂(トランス脂肪酸など)や過剰な摂取こそが問題。コンビニ弁当、菓子パン、スナック菓子には、安価な植物油脂やショートニングなどが多く含まれており、これらは体内で酸化ストレスを引き起こす要因にもなります。
このような現代的な食環境においては、「何を食べるか」に加えて、「いつ食べるか」「どのくらい空腹を保てるか」という時間軸の視点が非常に重要になります。
特に、12時間空ける食習慣は、“インスリンの出番を減らす時間帯” を意識的につくることに繋がります。これが代謝にリズムを生み、体に「使うモード」を思い出させてくれるのです。
私が実感したのは、「砂糖や脂を完全に排除する」のではなく、「溜め込まないタイミングと組み合わせを意識する」だけで、体はしっかり応えてくれるということ。制限ではなく、習慣と仕組みで自然と代謝が整っていく感覚は、年齢とともにますます大切になると感じています。
“体内ローリングストック” という新しい視点

「ローリングストック」とは、日常的に消費しながら備蓄していく、防災の基本とされる食品管理法です。レトルトや缶詰などの保存食を日々の食事で使いながら、使った分だけ新しく補充しておくことで、いざという時にも “使える状態” の備えを維持できます。
私は、この「使いながら補充する」という発想が、私たちの体の中にも当てはまるのではないか?と感じました。
体の中にもエネルギーの備蓄システムがあります。肝臓や筋肉に蓄えられたグリコーゲン、皮下脂肪や内臓脂肪に蓄えられた中性脂肪。これらはまさに “エネルギーのローリングストック” とも言える存在です。
しかし、現代の生活ではこの備蓄が「使われずに溜まっていく一方」になりがちです。通勤もデスクワーク中心、買い物もネット、階段よりエレベーター… 気づけば、備蓄は増える一方、使う機会が減ってしまっているのです。
ここで大切なのが、「定期的にエネルギーを使い、必要な分だけ補充する」習慣を作ること。まさに、体内における “ローリングストック” の意識です。
私はこの考え方を取り入れることで、「食べても太らない体質」を少しずつ取り戻していきました。たとえば、朝に階段を登り降りすることで、前日の食事で蓄えたグリコーゲンを消費しやすくします。そして、そのあとの食事で糖質や脂質を適量補給する――この一連の流れが自然とできるようになると、体の中で“循環”が起きるのです。
また、「使い切る」という感覚は精神面にも良い影響を与えてくれました。以前の私は、食べることに対してどこか「罪悪感」を抱いていましたが、今では「ちゃんと使うから補ってもいい」と思えるようになったのです。
この循環の中で、食べることが単なる “摂取” ではなく、“巡らせる”ための行為に変わりました。
特に印象的だったのは、暴飲暴食が減ったこと。以前ならストレスがたまると甘いものや揚げ物に走ってしまっていたのが、「使って補う」という視点を持つようになってからは、次の運動や空腹のタイミングを自然と意識するようになり、“食べすぎない理由” が自分の中にできていたのです。
体内ローリングストック――この言葉は造語かもしれませんが、私にとっては非常にしっくりくる体感でした。そしてこれは、40代以降の私たちにこそ必要な発想ではないでしょうか。
デトックスとの相性

体内ローリングストックによる「循環」を意識するようになってから、私の体にはもう一つ大きな変化が起こりました。それが、「デトックス体質」への変化です。
いわゆる “デトックス” というと、スムージーやクレンズジュースなどの特別な方法を思い浮かべる方も多いかもしれません。でも、私が実感したのは、もっと地道で日常的な、“自然な排出”の力が高まってきたということです。
たとえば、朝に階段の登り降りをすると、体がポカポカと温まり、うっすらと汗をかくようになります。この汗が意外と侮れません。体温を上げ、皮膚の下の毛細血管を刺激し、老廃物の排出を促してくれるのです。
また、血流の改善が腸にもよい影響を与えているのか、便通のリズムも安定してきました。もともと便秘ぎみだった私は、運動をしている日ほど「自然に出る」ことが増え、これは体が “滞りなく流れている” 証拠だと感じています。
さらに、空腹時間が一定以上続くことで活性化するのが、細胞の自己浄化システム「オートファジー」。これは、古くなった細胞の構成成分を分解・再利用する仕組みで、がん予防や老化抑制にも関係していると近年注目されています。
このオートファジーを促すには、一定時間の絶食(12時間以上)が鍵とされており、私の「12時間空ける食事習慣」はこの条件に合致していたのです。
つまり、「空腹時間を作る」「汗をかく運動をする」「腸を動かす」――この3つの習慣がそろうことで、私の中で “ためない体” への道が整っていきました。
もちろんこれは急に起こる変化ではありません。でも、数週間、数ヶ月と続けるうちに、少しずつ体の透明感というか、“内側がクリアになっていく” 感覚がありました。
肌の調子が良くなる、顔色が明るくなる、夕方のむくみが減る――これらはすべて、体内の“出す力”が高まってきた証なのだと思います。
「運動」「空腹」「循環」は、単体でも健康に良いことですが、これらを組み合わせることで、私たちは本来持っている “排出のチカラ” を最大限に引き出せるのではないでしょうか。
出典: The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2016 – Press release
The 2016 Nobel Prize in Physiology or Medicine – Advanced information
朝の階段昇降 & 質の良い食事のすすめ

日々の生活の中で、「体内ローリングストックを循環させる」ために私が大切にしている習慣が、朝の階段登り降りと、質の良い食事です。
まず、朝の階段登り降り。
朝は、前日の夕食から最も時間が空いたタイミングです。グリコーゲンのストックも減り、体は “脂肪を使いやすい状態” になっています。この時間に軽く階段を登ると、エネルギーとして脂肪が使われやすくなるだけでなく、代謝スイッチが入って1日のエネルギーモードが高まるのを実感できます。
私の場合、地上6階分の階段を40~50分ほど登り降りすることを習慣にしています。朝から血流が良くなり、頭が冴えてくるのが分かります。出勤前に気分がすっきり整う感覚は、一度味わうとクセになります。
そして、階段登り降りのあとの “補給” がとても大事です。
ここで私が活用しているのが、「健康的な常備食材」。いわば “体内ストックを上手に補うための食品群” です。
例えば、食物繊維が豊富な「乾燥わかめ」や「切り干し大根」、たんぱく質と脂質のバランスが良い「サバ缶」や「ツナ缶」、ミネラル補給になる「小魚アーモンド」、血糖値の上昇を緩やかにしてくれる「雑穀ごはん」など。これらは、いずれも賞味期限が長く、災害備蓄用のローリングストックにもなります。
つまり、“日々の食事” と “非常時の備え” を兼ねることで、栄養の質も管理でき、いざという時の安心感にもつながるのです。
私はこれを「栄養のリスク管理」と呼んでいます。習慣として確立していくと、「どんな時でもリカバリーできる体制」が整ってきます。
こうした備えは、「ためない」体づくりの一翼を担ってくれる存在です。糖質と脂質が過剰になりがちな現代において、「何を補うか」はとても重要です。そして、疲れた夜にこそ、こうした “準備された選択肢” があることが、暴食や過食を防ぐ大きな味方になるのです。
朝の階段と、質の良い食事。
これは、「使って・補う」循環を日常に根づかせる、私にとっての黄金ルーチンです。
出典:Training in the fasted state improves glucose tolerance during fat-rich diet
まとめ:一段ずつ、10年先の自分をつくる

「気づけば太っていた」「疲れが抜けにくい」「肌にハリがない」――
そんな悩みは、ある日突然やってくるわけではありません。小さな積み重ねの結果として、じわじわと “ため込んだもの” が表に出てくるのです。
だからこそ、改善の道もまた、一歩ずつの積み重ねが基本だと私は思っています。
今回お伝えした「階段の登り降り」「12時間空ける食事」「体内ローリングストック」「軽いデトックス」。これらはすべて、特別な器具もサプリもいらない、誰にでもできる日常の工夫です。
重要なのは、「習慣として続けること」「仕組みとして体に覚えさせること」。
それができれば、体は “ためる” から “巡らせる” モードへと確実に変わっていきます。
私もまだ、完璧ではありません。疲れて登らない日もあれば、空腹に負けて夜食をつまんでしまうこともあります。それでも、“戻れる習慣” があることが、自分の軸となってくれています。
10年先、50代の私が「まだ軽やかに階段を登れている自分」であるために。今この瞬間からできる一段を、今日も登っていこうと思います。
あなたも、未来の自分のために。“ためない体” “巡る体” を、一緒に育てていきませんか?
おことわり
本記事は筆者個人の健康診断結果と経験に基づくものです。記載内容は一般的な医療アドバイスではなく、読者の皆様の健康状態については必ず医療専門家にご相談ください。また、本記事の情報は執筆時点のものであり、最新の医学的知見とは異なる可能性があります。
本記事で使用した画像はNapkin AIを利用しています。