「本当に健康にいいの?」 階段運動の効果を健康診断データで検証
以前、私は自身の健康診断データをもとに、「階段の登り降り」というシンプルな運動が、血液データや健康状態にどのような影響を与えるのかを検証し、その結果を記事にしました。

階段の登り降りは特別な器具や環境を必要とせず、日常生活の中で手軽に取り入れられる運動です。そのため、運動不足になりがちな現代人にとって、効率的かつ継続しやすい運動のひとつだと考えています。私自身、体重や血液データの変化を実感しており、「この運動を続ければ、より健康的な体を維持できるのではないか?」と期待しながら継続してきました。
それから6ヶ月が経ち、新たに健康診断を受け、その結果が出ました。今回の記事では、前回のデータと比較しながら、継続的な階段の登り降りが健康にどのような影響を及ぼしているのかを詳しく考察していきます。数ヶ月の継続によって、体はどのように変化しているのか? 血液データにはどのような傾向が見られるのか? 階段の登り降りを習慣化することで得られる具体的なメリットについても掘り下げていきます。
日々の小さな積み重ねが、未来の健康につながる。この記事が、運動習慣を取り入れたい方や、階段の登り降り運動の効果を知りたい方の参考になれば幸いです。
健康診断データに見る階段登り降りの効果

身体計測
年齢 | 体重 [kg] | BMI | 体脂肪率 [%] | 腹囲 [cm] |
---|---|---|---|---|
37歳 | 81.3 | 27.4 | 29.2 | 89.8 |
40歳 | 75.1 | 25.6 | ー | 88.8 |
46歳 | 78.0 | 26.4 | ー | 86.0 |
47歳 | 69.2 | 23.5 | 18.3 | 76.0 |
47歳6ヶ月 | 70.2 | 23.7 | 20.7 | 77.0 |
体重は全体的に減少傾向にあり、近頃はBMIの適正範囲(18.5 以上 25 未満)に収まっています。特に47歳時点での体脂肪率は一時18.3%まで低下し、腹囲も大きく減り健康的な数値を維持しています。
階段登り降りの習慣によって体組成が着実に改善していることが読み取れます。
肝機能
年齢 | AST [U/L] | ALT [U/L] | γ-GTP [U/L] |
---|---|---|---|
37歳 | 43 | 85 | 58 |
40歳 | 24 | 25 | 26 |
46歳 | 42 | 58 | 32 |
47歳 | 23 | 25 | 21 |
47歳6ヶ月 | 26 | 22 | 18 |
過去には一時的に肝機能の数値(特にALT)が高めだった時期もありました。しかし、現在ではいずれの値も安定しており、全体的に良好な状態を維持しています。適度な運動習慣は肝臓の健康を改善し、肝疾患の管理にも役立つ可能性が報告されています。
階段の登り降りを継続することで肝機能が安定したことは、このような運動のプラス効果の一例と言えます。
脂質
年齢 | コレステロール [mg/dL] | LDLコレステロール [mg/dL] | HDLLDL/HDL比 | [mg/dL] | 中性脂肪
---|---|---|---|---|
37歳 | 133 | 48 | 2.77 | 201 |
40歳 | 118 | 62 | 1.90 | 111 |
46歳 | 156 | 65 | 2.40 | 73 |
47歳 | 130 | 68 | 1.91 | 68 |
47歳6ヶ月 | 142 | 72 | 1.97 | 58 |
LDLコレステロール(悪玉)は年によって増減がありますが、HDLコレステロール(善玉)は徐々に改善傾向にあり、全体的にバランスの良い値を維持できています。加えて、中性脂肪は一貫して低く抑えられており安定しています。
一般に有酸素運動を習慣化すると血中の善玉HDLコレステロールが増加し、悪玉LDLコレステロールを減少させるため動脈硬化リスクの低減につながることが知られています。
階段の登り降りを続けたことによるこれら脂質プロフィールの改善は、日々の運動習慣が心血管の健康にも良い影響を与えている証拠と言えるでしょう。
階段の登り降りがもたらす健康効果

私のデータから見ても、階段の登り降りを継続することで体重減少や肝機能・血液データの改善など多くのメリットが得られています。主な効果として、以下の点が挙げられます。
エネルギー消費が高く、体重・体脂肪の管理がしやすい
階段の登り降りは短時間で多くのカロリーを消費するため、習慣化すれば体重や体脂肪のコントロールに役立ちます。実際、10分間の階段昇降は30分の速歩に匹敵するエネルギー消費になるとも言われています。
出典:8 Physiological Changes From Stair Climbing
血流が促進され、代謝が向上する
階段を登ることで心拍数が上がり血液循環が良くなります。さらに、こうした有酸素運動によって基礎代謝が刺激され、運動後もしばらくカロリー消費が続く「アフターバーン効果」も期待できます。血流改善と代謝向上により全身の臓器への酸素・栄養供給が効率化し、健康増進に寄与します。

有酸素運動と筋力トレーニングの両方の効果
階段の登り降りは心肺機能を鍛える有酸素運動であると同時に、太ももやふくらはぎなど下半身の筋肉を強化する筋力トレーニングにもなります。重力に逆らって自分の体重を押し上げるため、多くの筋群が動員され脚力・体幹力の向上につながります。
二重の効果により、持久力と筋力の両面から日常体力を底上げできます。

心肺機能向上
階段の登り降りは、持久力を高める有酸素運動と、筋力を向上させる無酸素運動の両方の要素を含んでいます。階段を登ることで心拍数が上がり、心臓と肺に適度な負荷がかかるため、心肺機能の向上につながります。これにより、日常生活での疲れにくさや、持久力の向上が期待できます。

骨密度の維持
階段の登り降りは、自分の体重を利用した適度な負荷がかかる運動のため、骨に適度な刺激を与えます。この刺激が骨形成を促し、骨密度の維持や骨粗鬆症の予防につながります。特に中高年にとって、骨の健康を守ることは転倒や骨折リスクの低減にも役立ちます。

無理なく続けるためのポイント

階段の登り降りは手軽な運動ですが、継続することが大切です。日常習慣として無理なく続けるために、以下のポイントを意識しています。
- 短時間でもOK:
- 1回わずか5分程度でも構いません。忙しい日でも短い時間で区切って行い、「継続すること」に重点を置きます。
- 目標を決める:
- 例えば「エレベーターは使わず1日○回以上階段を使う」といった具体的な目標を設定します。数字で目標を立てると達成感が得られやすく、モチベーション維持につながります。
- 周囲に勧めすぎない:
- 良さを実感すると人にも勧めたくなりますが、過度な押し付けは逆効果です。自分自身が楽しんで続け、その結果を自然に話題にする程度に留め、周囲には自然に取り組んでもらうと良いです。
まとめ:継続こそ、未来の健康への投資


今回の健康診断データを振り返ることで、階段の登り降りというシンプルな運動が、確実に体の健康に良い影響をもたらしていることが改めて確認できました。特に、体重や体脂肪の減少に加え、肝機能の安定、脂質データの改善といった具体的な数値の変化が見られたことは、この運動の継続が健康管理において有効であることを示しています。日々の積み重ねが、体の内側から変化をもたらし、健康診断の結果にもポジティブな影響を与えていることを実感しています。
また、階段の登り降りは特別な設備や器具を必要とせず、日常生活の中で手軽に実践できることも大きなメリットです。忙しい日々の中でも、通勤や外出時、職場や自宅の階段を意識的に活用することで、無理なく運動習慣を身につけることができます。運動不足が気になる方や、ジム通いが続かない方にとっても、階段の登り降りは取り入れやすく、効果を実感しやすい方法の一つです。
今後も引き続きデータを記録しながら、この習慣を継続し、さらなる健康の向上を目指していきます。運動は「やるか、やらないか」の小さな選択の積み重ねです。一日数分でも、階段を使うことで未来の自分の健康が変わるかもしれません。興味のある方は、ぜひ今日から意識して階段を使い、健康的な体づくりの第一段を踏み出してみてください。
おことわり
本記事は筆者個人の健康診断結果と経験に基づくものです。記載内容は一般的な医療アドバイスではなく、読者の皆様の健康状態については必ず医療専門家にご相談ください。また、本記事の情報は執筆時点のものであり、最新の医学的知見とは異なる可能性があります。