身体だけではなく心にも効く階段登り降り
私はこの数年間、階段の登り降りを地上6階の高さ、30〜40分間、2〜3回/週のペースで続けて来ました。
続けることで、体重が減った、腰痛をほぼ感じなくなった、血液検査の結果が良くなったなどの実感を得ることができました。その一方で、運動中、特に運動終了直後に感じる達成感・幸福感も得られているのでは? と漠然ながら感じていました。
階段の登り降りという一見単純な運動と思いきや、その効果は身体だけでなく心にも及びます。今回の記事では、数年間続けてきた私が実感する、階段の登り降りがもたらす意外な精神的メリット5つをご紹介します。
①ストレス解消:階段を上がる、ストレスは下がる
階段の登り降りを始めとする各種運動は、身体のホルモン量制御に影響を与えます。
運動によるストレスホルモンの減少
運動によって、ストレスホルモンの1つであるコルチゾールの分泌が抑制されます。コルチゾールは過剰に分泌されると、ストレス反応を引き起こす原因となります。
出典:運動による疲労の蓄積を感じたら、オーバートレーニング症候群にご用心
運動による幸せホルモンの増加
運動を継続的に行うことで、幸せホルモンの1つであると呼ばれるセロトニンの分泌が促進されます。セロトニンは気分を安定させ、ストレスや疲労を感じにくくする効果があります。
出典:ストレス解消と運動
また、エンドルフィンは一般的に幸せホルモンとして知られる神経伝達物質であり、運動中に多く分泌されます。エンドルフィンは脳内で分泌され、気分の高揚や幸福感、鎮痛作用をもたらします。
出典:4つの幸せホルモンとは? 効果&増やす方法を簡単に解説!
②集中力と生産性の向上:脳の血流は上がる、パフォーマンスも上がる
階段の登り降りをすることで身体の血流が上がることを本サイトの他の記事で述べました。
当然ながら、血流が上がるということは脳の血流も上昇させます。そのことにより、脳のパフォーマンス改善につながります。
運動と脳の血流
階段の登り降りを始めとする軽度や中度の運動は脳血流を増加させることが報告されています。
出典:体を動かして脳を活性化(市報のだ8月15日号掲載)
脳血流と認知機能
脳血流の増加は神経細胞の働きを活性化させ、認知機能の向上につながる可能性があります。
出典:体を動かして脳を活性化(市報のだ8月15日号掲載)
運動と集中力
運動は脳を刺激し、神経細胞の働きを活発にすることで頭の働きを良くし、集中力を向上させる効果があります。
出典:脳が元気になると、脳卒中や認知症も予防できる(ライフスタイル編)
パフォーマンスの向上
運動による脳血流の増加と神経細胞の活性化は結果として集中力と生産性の向上、つまりパフォーマンスの向上につながると考えられます。
③自己効力感の向上:楽しさが上がる、継続意欲も上がる
小さな目標達成の積み重ねが生む大きな自信
本サイトの別記事で、階段の登り降りを長期間続けれらた理由を脳の仕組みから考えたことについて記載しました。
事始め → 習慣化 → 日常茶飯事化が達成されると、『自信』がつきます。「自分ならできる」「うまくいく」と考えられる状態です。自信が付くとシンプルに楽しくなってきます。楽しくなるとまた継続しようという意欲につながります。そこからまた別の事に挑戦したくなる・・
このように、階段の登り降りは個人の成長や目標達成に影響を与える力を持っているのかもしれません。
④気分転換とリフレッシュ:日常、いっとき非日常
階段の登り降りという運動は、日常生活から一時抜け出すということでもあります。また、階段の登り降りが日常茶飯事化すると、運動中の脳の働き方が変わってくるようです。
自動化された動作
階段の登り降りを習慣化すると、その動作が自動化され脳の一部のリソースが解放されます。これにより他の思考に集中できるようになります。
出典:「学んだ」ことが「身につく」ときの脳の変化 〜運動学習で大脳皮質神経回路が変化し学習記憶が進む〜
マインドフルネス効果
階段の登り降りという繰り返しの動作に集中することでマインドフルネスの状態に近づき、何も考えないことに集中することで脳に空白を作りだします。クリアな思考や新しいアイデアが生まれやすくなることがあります。
出典:脳疲労とは?休んでも疲れがとれない、集中力が続かないのはスマートフォンなどの影響?原因と対処法も解説
階段の登り降りを通した私の体験・体感
私自身は階段の登り降りを続けるにつけ、言語化は難しいですが、運動中に一種のトランス感、考え事がふと進む感じ、頭がぼーっとしているようで集中している感覚があります。これらのことは上記のことを踏まえると、脳血流の増加・神経細胞の活性化・ストレス解消効果・脳のリソース解放・マインドフルスネ効果が現れているのかもしれません。
⑤睡眠の質向上:ほどよい疲れが導く深い眠り
このことはみなさま体感済みだと思います。振り返れば子供の頃、遊び疲れてぐっすり眠っていることがあったのではないでしょうか? 純粋に楽しみ・疲れて純粋に眠りにつく・・ 習慣的な運動はヒトのシンプルな営みを思い起こさせてくれるのかもしれません。
入眠の促進
適度な運動は体温を上昇させ、その後の体温低下が入眠を促進します。これにより寝つきが良くなる効果が期待できます。
出典:睡眠と運動との関係は?良質な睡眠につながる運動のポイントを解説
深い睡眠の増加
習慣的に運動をしている人ほど、深い睡眠(徐波睡眠)が得られやすくなります。深い睡眠は身体の回復に重要な役割を果たします。
出典:睡眠と運動との関係は?良質な睡眠につながる運動のポイントを解説
まとめ
ここまで階段の登り降りがもたらす意外な精神的メリット5つを述べて来ました。
- ストレス解消:階段を上がる、ストレスは下がる
- 集中力と生産性の向上:脳の血流は上がる、パフォーマンスも上がる
- 自己効力感の向上:楽しさが上がる、継続意欲も上がる
- 気分転換とリフレッシュ:日常、いっとき非日常
- 睡眠の質向上:ほどよい疲れ、のち深い眠り
正直申し上げると私にとってこれらのメリットは、順番で言うと後付けです。階段の登り降りを始めたとき、続けているとき、このようなことを深く考えてはいませんでした。運動によって身体へ良い効果が実感できてから、運動を日常茶飯事化できて脳の働き方が変わってから、ふと浮かび上がってきた考え方です。
みなさまはこのような体験はありますか? みなさまの『努力が努力でなくなった時に見えて来る景色』を共有していただけますとうれしく思います。
おことわり
本記事は筆者個人の健康診断結果と経験に基づくものです。記載内容は一般的な医療アドバイスではなく、読者の皆様の健康状態については必ず医療専門家にご相談ください。また、本記事の情報は執筆時点のものであり、最新の医学的知見とは異なる可能性があります。